権利者の叫び

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アニメ制作者がネットラジオでニ○○○動画を痛烈に批判というのを見かけたので第4回放送を聞いてみた。私はYou Tubeニコニコ動画も使っていないが、確かに「他人が作ったものを許可無く上げるな」というのは権利者の主張としてはきわめてまっとうである。

しかし気になったこともいくつかある。まずmp3データがネットワーク上に流れたためにCDが売れなくなったと主張している点。強い正の相関はあるかもしれないが、これが因果関係を意味するものではないというのは明白である。CDが売れなくなったと言われる時期は携帯電話の普及に重なっているし、着うたなどというもろにCDと競合するサービスも2002年に登場している。まあ実験できないので因果関係を立証するのは難しいのだけれど。

「10年前のパソコンソフトが同じで、みんながコピーするから値段があがっていった」という発言があるが、これは私の実感とは逆である。値段が高いうちはみんなコピーしていたが、にもかかわらずソフトウェアの値段は一貫して下がり続けている。そのうちプリインストールされるようになると誰もコピーしなくなった。その後も一部のソフトウェアをのぞいて値段は徐々に下がっていき、今や一太郎など2万円である。かつて5万8000円でも価格破壊と言われたんだがなあ。

権利者が自ら削除するためのツールを配布するのは責任逃れだとと言わんばかりの発言もあったが、現状では著作権侵害親告罪ではなかっただろうか? 内容証明を送るにせよ、ツールで削除するにせよ、権利者がアクションしないとダメなことに変わりはないような気がする。

また番組中で自ら言及しているが、クオリティの問題、というよりコストパフォーマンスの問題がある。普段DVD-Videoなど買わないので実感できないが、ざっくり見たところアニメだと4話入って100分で6000円といったところか。普通は13話とか26話あるから、全部そろえるにはちょっと気合いがいる。まあ昔の30分VHSテープで1万5000円とかに比べればましだが、そこまでお金をかけて繰り返し見たい作品があるかというと……。宇宙戦艦ヤマト装甲騎兵ボトムズのLDは購入したが1回見たきり。機動戦士ガンダムのDVDにいたってはまだ1話しか見ていない。

最近はリアルタイムでTVを見ることはほとんどなくハードディスクレコーダータイムシフトしているが、実はDVD-Rに記録することもほとんどない。見たら消してしまうのだ。DVDドライブの付いていない純然たるハードディスクレコーダーに移行して1年半になるが、全然困らない。それ以前もDVD-Rに記録したことなど、数えるほどしかない。一消費者として言わせてもらえば、「権利者としてまっとうな主張だとは思うが、偉そうなことは払った金に見合うだけのものを作ってからにしてくれ」というのが正直なところだ。制作者がどのくらいのコストをかけなければ作れないのかは、消費者の知ったことではない。手にする商品、サービスと価格が見合うかどうかが普通の判断基準だろう。

金額こそ低いものの、CDだって似たようなものである。気に入った曲を買おうとすると、聞いたこともない、気に入るかどうかもわからない曲に、使いもしないカラオケとセットで1000円とか1500円とかする。これは普通だったら抱き合わせ販売と言わないだろうか。1曲単位で気軽に低コストで購入できる着うたフルやiTunesに客を奪われるのは当然のような気がする。